令和の時代を迎えこれからの不動産市場価格や需要はどう動いていくのか
2019年これからの不動産市況はどう動いていくのか
2019年は日本では令和の時代を迎え、にわかにお祭りムードが湧き上がりましたが、一方で景気の回復の大幅な動きはなく、経済的に不透明な状況が続いています。2019年5月の令和の幕開けをはじめ、10月には消費税10%への引き上げが予定され、2020年には東日本大震災の史上まれに見る被害から復興を遂げた日本の姿を世界にアピールする東京オリンピックが控えています。こうした状況の中、これからの不動産市場価格や需要はどう動いていくのか、検証してみましょう。
令和時代の幕開けで不動産市況も動くか
令和の時代になり、日本各地でお祝いムードやお祭りムードで賑わう姿が見られました。令和時代に便乗するビジネスで売り上げを伸ばしたお店もありますが、あくまでも一時的、限定的なもので景気の底上げや回復を後押しするレベルではありません。一方、個人の間では令和婚をするカップルが目立ちました。
令和をキッカケに結婚を決めたカップルが、マイホームの取得にと向かっていけば、少しは不動産市況にも影響があるかもしれません。もっとも、今時の若者世代は極めて現実的で、お財布の紐も硬い合理的な考えをする人が少なくありません。マイホームは持たず、賃貸でもかまわないカップルや結婚してもシェアハウスで暮らす個性的なカップルなどもいます。また、新築ではなく、中古住宅を購入して自分好みにリフォームするというのも最近人気のスタイルです。
中古不動産市況がにわかに活気立てばよいですが、令和婚ブームも初日が5月上旬にとどまったていることや結婚してすぐにマイホームを求めるカップルは比較的少ないことから、まだ動きは鈍いかもしれません。むしろ、新婚から年数が経ち、そろそろマイホームをと考えているカップル、住み替えや建て替え、リフォームなどを検討していた方が、令和という節目を記念して、どのくらい動き出すかのほうが影響を与えるのではないでしょうか。
消費税値上げの影響
消費税が8%から10%に上がることが予定されていることから、値上げ前に住宅購入やリフォーム工事などの駆け込み需要があるのではと言われてきました。確かに前回の消費税値上げの際には、消費税が5%から8%上がる前に買いたいといった動きがありました。ですが、今回は慣れっこになってしまったのか、前回よりインパクトが薄いのか、急いで買おうといった動きはあまり強くありません。
10%への値上げが何度となく延期されてきた経緯から、また上がらないかもという憶測も働いているからかもしれません。この点、消費税値上げ前に契約しても、注文住宅の完成やリフォーム工事などの完了が消費税値上げ後になると値上げ前の消費税が適用されないケースがあります。請負契約では引き渡し時が代金支払いの基準となるためです。
そのため、消費税値上げ前に代金を払うためには、かなり前から相談や計画、設計などを行い、すでに工事に入っている段階でないと難しい場合があります。工務店やハウスメーカーの動向を見ても、そこまで活況を呈しているわけではなく、前回の値上がり前のように販売促進キャンペーンを行っていないところを見ると、今の時点では影響は少なさそうです。もう少し差し迫ってから、引き渡し時期が基準だと知らずに動き出す消費者の影響で不動産市場価格や需要が動く可能性は残されています。もっとも、影響は一時的に終わるでしょう。
東京オリンピックに向けて
東京オリンピックを控え、開催地である東京や首都圏を中心に大型建物の建築や建て替えなどの動きが進んでいます。世界からの観光客を受け入れるためのホテル建設のラッシュや大型商業施設の建築が目立ちます。また、竣工時期が古く、新しい耐震基準を満たしていなかった商業施設やコンサートホール、ビルなどが、2020年までに再築を果たしたいと、軒並み解体され、大型施設への再築が進められているのです。
商業ビルや商業施設などにおいては、2020年の東京オリンピックが一つのタイミングやキッカケとなり、それに向けて建て替えなどの動きが出たという意味では、不動産市場価格や需要を下支えしたと言えます。東京オリンピック開催施設がある東京の勝どきエリアなどの地価が高騰したり、高層階からオリンピックの開会式が眺められるなどと話題を集めて、超高層マンションに多くの申込者が殺到し、すぐに完売するなど、一部のマンションでは需要増加や価格高騰などの恩恵を受けています。
まとめ
令和の幕開けによるマイホーム取得の動きに期待したいところですが、今のところ大きな変動はありません。また、2019年10月には消費税10%への引き上げが予定されていますが、前回の値上げほどの駆け込み需要は見られません。
2020年の東京オリンピックに向けて大型建物の建築や建て替えの動きがあるので、それが不動産市場価格や需要を下支えしている状況です。