不動産の財産分与は売却すると決めているなら価値を知ることが大事

遺産相続の一番の揉め事になるのが不動産

親の遺産は、法定相続人と呼ばれる子どもに自動的に、そして等分に相続されます。遺言書によって特に指示がある場合はこの限りではありませんが、そうでなければ子どもが3人いた場合、等分に分けて相続されます。とはいえ、親が遺してくれた遺産はこれまで住んでいた家の土地と家屋だけということがほとんどでしょう。

よほど多くの土地を持っていたといった資産家でない限り、親が子どもに遺す遺産は住んでいた家とその土地だけということが大半です。土地と家屋が持つ遺産としての金銭的価値は、立地条件や築年数、土地の面積などで変わってきますが、法定相続人が複数人いる場合には分けるのが非常に困難になるのが特徴です。

誰かが住むという選択をすると揉めてしまうのは

法定相続人である子どもが何人かいて、借家暮らしの人が親の家に住むとなれば、家の名義をそのまま変更すればよいだけですので、手続きとしては最も簡単です。しかしながら、親の家に仮に3,000万円の価値があり、法定相続人である子どもが3人の場合、家を相続した人はほかの兄弟姉妹にそれぞれ1,000万円を支払わなければなりません。

そうでなければ、家という遺産を法定相続人の間で3等分することにならないからです。遺産相続において兄弟姉妹間で揉め事が起こるケースで多いのは、法定相続人の間で明確に分けることが困難な家の相続で、受け取る権利のある不動産の価値代金について分割協議がまとまらないことにあります。

そのため、誰かが住むというのは最も簡単な相続の仕方ですが、遺産分割という点においては、ほかの相続人にお金が支払えるかどうかでも揉めることが多いのが特徴です。

親が不動産をどう相続させるかまでをしっかり考えておく

親は自分亡き後、大事にしてきた家と土地を巡って子どもらが揉めていると知ったら、草葉の陰で泣いていることでしょう。
そのため、兄弟姉妹間で不仲にならないよう、生前から不動産という財産に関しては、売却して分与するとしておくのが一番です。

不動産をそのままにした状態で、法定相続人で平等に分けるには、共有で所有するしかなく、それはそれでまた違うタイプのトラブルを招くおそれがあります。そのため、売り払って現金にしてしまい、そのお金を法定相続人の数で頭割にして分けたほうがわかりやすいうえに、誰もが納得できるでしょう。

さらには、一人が不動産として相続するのに比べ、それぞれが財産分与で現金を与えられたほうが相続税が非課税になるケースも多く、メリットのある選択肢です。まずは親が子どもに対して、不動産の財産分与は不動産を売却したうえで、売却代金を法定相続人の間で等分に行うことと伝えるか、あるいは遺言書を残しておくのが望ましいと言えます。

売却で財産分与を考えているなら

自分が亡くなってから不動産をどうするか、子どもたちに任せるという選択もあるでしょう。とはいえ揉めることが多い不動産に関しては、事前に親の意向を伝えておくほうがよい場合も多いのが事実です。そこで、まだ存命の間に親世帯が自分たち亡き後に、不動産を相続するにあたっては速やかに売却し、財産分与をするのが、子どもたち全員から納得が得やすい考えられます。

家と土地という不動産が、売却してからのほうが相続に適しているのは、売れたことによって手元にいくらお金が残り、それを人数分で割るといくらになるかがはっきりとわかるところにあります。これなら遺産分割協議において揉めることなく、穏便に親の遺産を相続できるでしょう。

売却での財産分与だからこそ知っておきたいこととは

子どもたちが揉めることなく親からの遺産を相続するためには、必要のなくなった土地と家屋は売ると親が自ら決めることが不可欠です。さらに、少しでも多く財産分与したいという親心は当然ですので、あらかじめどのくらいの価値があるのかを調べておくことも重要となってきます。

不動産の価値を知るのは実はなかなか難しく、不動産会社に査定を依頼しても、不動産会社によってその金額にはばらつきがあるのが実情です。ばらつきがあるとわかっている以上、複数の不動産会社に査定してもらうのがよいでしょう。複数に査定を依頼すれば、最も高い査定額を出してくれたところを選べます。

完全に自分の持ち家になっている高齢の親が亡くなった場合、不動産のままで残しておくことはかえって遺産分割協議の妨げになるため、あらかじめ不動産はすべて売却して財産分与することのほうがメリットが大きいと、法定相続人である子どもたちに生前に告げておくのが重要です。

そのうえで、親自らが土地と家屋にどのくらいの価値があるかを事前に調べておくことも必要です。子ども一人あたりにどのくらい財産分与できるかの金額が明確になることで諍いを避けられますので、事前に調べた中で最も高い不動産価値を出してくれた不動産会社に相談するように言っておく、あるいは遺言書にして残しておくことが不動産をスムーズに財産分与することにつながります。

まとめ

不動産の財産分与を考えているのであれば、あらかじめ土地や建物の価値を調べておきましょう。売却する場合と残しておく場合では財産分与の方法が変わってきます。もし平等に分与するのであれば、持ち家をお金に換えるのがよいでしょう。