別荘を相続したらどうすればいい?ニーズに合わせた選択肢のチョイスを
維持費がかかる別荘の相続問題
相続財産の中には自宅や預貯金をはじめ、別荘が含まれていることもあります。別荘と聞くとリッチなイメージですが、相続するとなると話は別です。これまで亡くなった方が払っていた別荘の固定資産税や都市計画税、別荘の管理会社に管理を委託している場合には管理手数料なども払わなくてはいけません。
また、ライフラインも契約しているのが通常なので、実際に使わないとしても、水道や電気、ガスや電話などの基本料金や公共テレビの受信料なども払わなくてはいけなくなります。年間にかなりの金額にわたるランニングコストが発生するので、相続人によってはコスト負担ができないと困るケースもあることでしょう。
自分のマイホームの住宅ローン支払いや子どもの教育費だけでも目一杯なのに、これ以上負担は難しいといった場合をはじめ、別荘を相続した場合にどのような選択肢があるのか、どの方法が適するのかをご紹介していきます。
所有しての利用や移住
別荘が欲しかったのでちょうどいい、故人の生前から利用していて、その別荘を気に入っていたというケースなら、自分のものとして所有することができます。最近は自然豊かな場所で週末にのんびりしたり、リタイア後に移住する方、テレワークにして田舎暮らしを楽しむ方も増えています。頻繁な利用や移住などを検討しており、ランニングコスト負担も気にならないなら、そのまま所有するのがおすすめです。
所有してレンタルする
所有したうえで自ら使わない間は、レンタルする方法もあります。家族や友人で別荘を利用する日数は、年間でも数えるほどしかないケースが多いですが、レンタルすることで無駄なく別荘を活用できます。
レンタル料が入れば、ランニングコストの負担も自己負担せずにレンタル料でカバーできるのもメリットです。自ら民泊サイトなどに登録して貸す方法のほか、別荘管理会社のサービスを利用して使わない間にレンタルするといった方法が採れます。
売却して代金を得る
別荘の利用ニーズがない、遠くて行くのが面倒な場所にあるなどの場合やレンタルするのも面倒という場合をはじめ、相続財産を上手く遺産分割できないといったケースなら、売却という選択肢があります。売却すれば、ランニングコストの負担も発生しません。
相続財産が自宅と別荘しかなく、配偶者と子ども2人で相続するといった場合を想定してみましょう。配偶者が自宅を相続して住み続けることにして、別荘を子ども2人で分けて、半分ずつ共有するとなると面倒です。売却して現金化したうえで、現金を分けたほうがスムーズな遺産分割につながります。
ローンが残っている場合の限定承認や相続放棄
別荘が残されただけでなく、別荘の購入ローンがまだ多額に残っているという場合はどうでしょうか。単純に相続すれば、ローンの残額をすべて相続人が返済しなくてはなりません。この場合、別荘は残したいし、ローンを踏み倒すのは価値観に合わない場合なら、限定承認の選択肢があります。
家庭裁判所での手続きが必要ですが、故人が残した財産の範囲で返済すればよく、相続人の財産を使ってまで返済する必要はありません。一方、借金ばかりが多くて、別荘以外に目ぼしい財産がないという場合には相続放棄をすれば、別荘も手に入らない代わりに借金の返済からも解放されます。
ただし、1人だけ相続放棄しても他の相続人に借金の返済負担が回るだけです。借金が多くて返済に困るケースでは、他の相続人も含め、相続放棄をするか検討がおすすめです。
別の相続人に譲るための相続放棄
先の例のように目ぼしい相続財産が自宅と別荘しかなく、相続人間で法定相続分に従ったり、平等に分けるのが難しいといったケースで、自ら相続を放棄して他の相続人に譲るということもできます。一例ですが、故人の配偶者はずっと一緒に暮らしていた自宅を相続する、自分はマイホームを持っているから相続を放棄する、まだマイホームもない妹に別荘を相続させるといった遺産分割が可能となります。
相続した妹さんは別荘の立地によってはマイホームとして使うこともできるほか、自分一人で売却して売却代金をすべて自分のものにしてもいいですし、民泊運営やレンタルをして収入を得るといった選択肢も選べるのが利点です。このように別荘を相続した際も、さまざまな選択肢があります。相続人の人数や状況、他の相続財産の種類、別荘に対するニーズやコスト負担など、さまざまな面を総合的に考慮して、その相続人に合った選択をしましょう。
まとめ
別荘を相続すると手放しでは喜べず、所有による税金や管理費などランニングコストの負担が問題となります。所有して利用したり、移住するなど自分たちで使う方法をはじめ、レンタルに出す、売却する、ローンの残りを限定承認して返す、相続放棄をして他の相続人に譲るなどの多様な選択肢が考えられます。
別荘の場所や利用ニーズ、継続的なコスト負担や残された借金など総合的に判断したうえで、自分に合った選択をしましょう。